〜法令上の専属と専任の違いを解説します〜
はじめに
衛生管理者や産業医の選任の際に出てくる「専属」と「専任」、文字もイメージも似ているため理解が難しい概念です。
労働衛生コンサルタント試験の筆記問題や衛生管理者試験においても頻出の論点となっています。
今回は専属と専任の違いについて、図のような法人を例に解説します。
以下の知識を前提として解説しています
常時使用する労働者数50人以上200人以下の事業場では衛生管理者1人以上の選任義務がある
常時使用する労働者数1001人以上2000人以下の事業場では衛生管理者4人以上の選任義務がある
常時使用する労働者数50人以上3000人以下の事業場では産業医を1人以上の選任義務がある
常時使用する労働者数1000人以上の事業場または一定の有害な業務に常時500人以上の労働者が従事している事業場は専属の産業医を選任する義務がある
常時使用する労働者数1001人以上の事業場または、常時使用数する労働者数501人以上の事業場で一定の有害な業務に常時30人以上の労働者が従事している事業場は衛生管理者のうち少なくとも1人を専任とする義務がある
図の株式会社福井自動車は、
東京本社
名古屋工場
大阪営業所
の3つの事業場からなる法人です。

※事業場についての弊所ブログをまだお読みでない方はこちらをご覧ください。
専属の意味
労働衛生における専属とは、その事業場にのみ所属している、ということです。
例えば図の事業場のうち、東京本社では1人、名古屋工場では4人の衛生管理者を選任する必要があります。
いずれも専属であることを要求されます。つまり東京本社の衛生管理者1人は東京本社にのみ所属していること、名古屋工場の4人の衛生管理者は名古屋工場にのみ所属している必要があるわけです。
東京本社と名古屋工場で衛生管理者を兼任することはできません。また、外部委託することも原則としてできません(例外は巻末のリンクをご参照ください。)
そして図の事業場のうち、東京本社と名古屋工場については産業医を1人選任する義務がありますが、名古屋工場に関しては産業医も専属とする必要があります。
専任の意味
さて、図の名古屋工場ですが、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任とすることも要求されます。
労働衛生における専任とは、専らその業務にのみ従事しているということです。
つまり名古屋工場の衛生管理者のうち少なくとも1人については衛生管理者としての業務にのみ従事している必要がある、という意味です。その1人については例えば製造業務と兼任することは許されず衛生管理者としての業務に集中していてください、というわけです。
まとめ
専属はその事業場にのみ所属していること、専任はその業務にのみ従事していることを意味します。
衛生管理者は専属が原則ですが、労働衛生コンサルタントであれば非専属の衛生管理者として選任できる場合があります。詳しくはこちらから↓